松山の旅(2):道後温泉

平成23年11月10日
 子規記念館の5時の閉館時間(夏期は6時)が迫り、追い立てられるように外に出て道後温泉本館に向かう。この本館というのは松山市営の温泉施設で、いわゆる外湯形式で宿泊できるものではない。しかし、道後温泉に宿泊する人はほとんどがここへ入浴に来るのではなかろうか。道後は3千年の歴史を誇る日本最古の温泉ということである。
 明治27年完成の建物は木造3階建の入り組んだ入母屋造りでどっしりとした風格を見せ、国の重要文化財に指定されている。本館3階の屋上に作られた振鷺閣(しんろかく)という太鼓櫓からは、午前6時の開湯時間と正午、夕方6時の3回、ドーン、ドーンと太鼓が打ち鳴らされ名物となっているが、私は入浴中で聞き逃してしまった。日本の音風景百選にもなっている。
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          道後温泉本館入り口
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          本館屋上の太鼓やぐら

 温泉には入浴料金の違う二つの湯があるが、この日は料金の安い「神の湯」に400円払って入った。(ただし、2階の大広間で着替えをして入ると浴衣とお茶、お菓子のサービスがあり800円となる。)
 泉質はアルカリ性単純泉、透明ですべすべとして入りやすい。湯温は温度が異なる17本の源泉をブレンドし、43度に調整してありこれまた丁度良い。 
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        重層的な入母屋造りの本館のたたずまい
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        重厚な木造三階建の本館(三階の上は太鼓やぐら)

 男湯は東浴室と西浴室の2室がある。どちらもよく似た大きさで30人位は入れそうだ。浴室には高さ4m 位まで四国の庵治石が張られ、高天井からは自然光が取り入れられている。湯釜と呼ばれる直径1m余の石の円柱から2~3個の吐出口を通して滔々と湯が溢れ出している。
 湯釜には漢文が刻まれ布袋(ほてい・西浴室)と大黒?(東浴室)の石像が飾られている。さらに両浴室の壁面には高さ2m、幅5m位はある地元砥部(とべ)焼の陶板画(タイル絵)が飾られている。絵柄は、東浴室には親子鷺に松と柳を配した絵、西浴室には布袋親子に松を配した絵となっている。どちらだったかに1998年・南光画と書かれていたので最近のもののようである。 
 湯につかりながら、こうしたたたずまいを眺めていると幸福感に浸り心が和んでくる。さすが道後の湯という風格を感じる。
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        道後温泉駅前の足湯(中央の石造円柱が湯釜・本館内の浴室の湯釜も同じ形)
 
 湯を出てから近くの「おいでん家」という店で宇和島風鯛めしセットを食べた。これもおいしかった。
 道後温泉駅と本館の間はアーケード街で結ばれ土産物屋と食堂が立ち並び、結構賑わっている。また、駅前には立派な湯釜から湧き出る足湯と「坊っちゃん」のからくり時計台もあり、目を引く。なお、足湯は道後の各所にある。
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        道後温泉駅前のアーケード街入り口(左)、その右がからくり時計台
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        「坊っちゃん」のからくり時計台、その右が足湯

 連泊2日目の11月11日も電車に乗り、ふたたび道後の湯に出かけた。この日はもう一つの湯「霊(たま)の湯」入浴が目的だ。料金1200円を払うと浴衣、お茶、お菓子、タオルサービス(バスタオルはない)のほか、「神の湯」もあわせて入浴でき、皇室専用の又新殿(ゆうしんでん)の間、坊っちゃんの間も見物できる。また、別途料金で個室の休憩室も利用できる。
 
 2階にある「霊の湯」は浴槽は10人位は入れ、湯釜が二つ付いている。採光天井は小さく暗い感じである。壁は胸高まで庵治石が張られ、その上は大理石となっているが陶板画がないので派手さはない。
 利用時間は1時間以内となっているので、両方入浴はあわただしく、どちらか一つというなら「神の湯」をお勧めしたい。
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        坊っちゃんの間、床の間に夏目漱石の像

 3階にある「坊っちゃんの間」は、夏目漱石が道後の湯に通っていたころ、好んで使用していたという部屋がそのまま保存されている。部屋の窓からは温泉客でにぎわう通りが眺められ、人力車が数台待機して、ちょっぴり明治の雰囲気をかもしていた。
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         坊っちゃんの間から見た本館前のにぎわい
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           本館入口横に待機する人力車

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