京都の旅:秘境・友禅菊の里

 平成24年7月29日、京都へ仲間と友禅菊の撮影旅行に出かけた。京都市にこんな秘境があるのかとまず驚いた。
 次いで、菊の露地栽培は秋のものと思っていたのに、炎天下で今を盛りと咲いていたのである。

 友禅菊の名を聞くのも初めてである。なんと典雅な名前だろうと、京都特産の着物、友禅染を思い浮かべたが、どうも直接の結びつきはないらしい。しかし、京都市内でこの地のようにある時期から友禅菊が栽培されていたのだから、因縁があるのかもしれない。秋の菊花展に出されるあの栽培菊とは同じキク科には違いないが、どうも種類(属名)が違うらしい。

 勉強不十分なまま断定を避けるため「らしい」続きのあやふやな話となったが、キク科シオン属に属し植物図鑑にも和名として載っているから一地域の俗称ではない。歳時記にも夏菊の代表例として友禅菊の名がある。
 いかにも日本に自生する野菊のようだが、北アメリカ原産でヨーロッパで改良され明治初年に日本にやってきた帰化植物である。
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            友禅菊(下の写真はソフトフィルター使用)

 その地に入るのに滋賀県の湖西道路を真野インターで降りて国道477号を山側に進む。「途中」という地名から国道367号(俗に鯖街道)に入り若狭方面に向かう。大津市梅ノ木から国道と別れ安曇川に架かる橋を渡る。すぐ1車線の道となり対向車が来たら広いところを見つけて道を譲りあわねばならない。両側は山が迫り谷底の川は瀬を作り、さながら深山幽谷を進む趣きがある。
 途中、道の分岐もあるがわけのわからぬまま案内車について行く。間もなく京都市という道路標識が目に入る。道も川の高さと変わらなくなり川遊びをしているグループも見られる。どうやら京都市左京区久多のあたりらしい。峠を越すと別の水系に入り猫の額ほどの平地が現れるが、道は相変わらず1車線だ。バスが走っているとはとても思えない。まとまった集落もなく、家もまばらだ。
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             藁ぶき屋根の家

 広河原方面と花背方面との分岐案内を花背へと採ったと思う。何しろ先導車について行くのがやっとで目配りの余裕がない。ほどなく数戸の藁ぶき屋根と友禅菊の栽培畑が見られる日本の原風景のような地に着く。車は路傍に寄せて数台置けるのがやっとである。真夏の昼間で近くに人の姿もなくここがどう言う地名かもわからぬまま撮影に入る。
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              友禅菊の畑と撮影風景

 友禅菊の畑は数枚しかないが、案内者や撮影に来ていた別の人の話では、以前はもっと栽培されていたようである。路傍の看板にも北山友禅菊・久多花卉(かき)組合と表示されているので、仲間はもっと居たはずである。ここも北山杉で有名な北山一帯なのだろうか。
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          北山友禅菊の看板(写真の右方も友禅菊)

 花弁にはまだ傷がなく、蕾もたくさんついているので、これから最盛期に入るようである。まだ小さい花弁は白っぽく花が大きくなるにつれ紫が濃くなり、蜂もよく知っていてそんな花ばかり蜜を吸っている。
 畑の傍らの木陰には水を張った木筒が置かれ、1束200円で無人販売している。お金は長い竹筒にポスト風の切り口を作りそこに投げ入れるようになっている。竹筒ごと持ち去る不埒者は居ないと信じられる土地である。
 ともかく京都市内とは思えない秘境である。帰りも同じルートをたどったので京都市内から直接行けるどんなルートがあるのかよくわからない。
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               蜜を吸う蜂
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        友禅菊の無人販売(下の写真の竹筒にお金を入れる)

 帰りのお土産に花束を買い求め、生け花をなさる知人に差し上げたら「美しさの中に、元気がよく、生命力を感じる花」と評していただいた。
 
 私が行った友禅菊栽培地付近の地図は京都市産業観光局農林振興室のホームページ 「平成23年8月京のあぜ道・京のやま道」 に掲載されているので参照してください。
 www.city.kyoto.lg.jp/sankan/page/0000105142.html

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