静岡県の旅:富士の名水・柿田川湧水群

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          国道1号線沿いの柿田川湧水の看板

柿田川湧水は富士山の雪解け水が溶岩の下を潜って一日120万トンも湧き出る、東洋一の湧き水という言葉に魅せられて、どんな所だろうと見物に出かけた。もちろん環境庁の名水100選にも選ばれている。

平成27年9月30日 (水) 曇り
 午前9:55、東海道新幹線三島駅のホームに降り立った。駅には北口と南口があり、新幹線ホームは北口に近い。駅構内には柿田川湧水への案内標示はない。右往左往の末長いコンコースを抜け南口駅前の観光案内所に飛び込み案内を乞う。南口バス乗り場④から10:30発沼津駅行きに乗車、西玉川というバス停で下車する。所要15分、運賃200円である。
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            三島駅南口

 後で知ったのだが、この路線は1時間に1本程度で平日のみ運行である。実はもう1本路線があり、同じ南口バス乗り場④からサントムーン経由静岡医療センター行乗車、柿田川湧水公園前バス停下車という方法もある。こちらも1時間1本程度で所要時間も似たものである。帰りはどちらのバス停からも三島駅行きに乗車すればよい。両バス停の違いは、西玉川は公園の駐車場や休憩施設に近く、湧水公園前は湧水の第一展望台に近いことである。どちらが近いと言ったところで数分の違いである。
 西玉川バス停から国道1号線を渡り5分程度で湧水公園の休憩施設に着き、昼食の腹ごしらえをする。柿田川湧水公園は行政的には三島市の隣町、清水町に所属するらしく、道理で三島市の観光案内書には記載がないわけだ。
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           湧水が飲める石樋

 前置きが長くなったが、食事を終え徒歩数分の第一展望台へ向かう。途中に湧水を汲むことができる石樋があり清潔な水が湧き出している。年間を通じ水温は15度と変わらず、ほぼ無菌、適度なミネラルを含んでいるというが、のども乾いていないのでやり過ごす。
 湧水公園と境を接して国道一号線が走りトラックがうなりを上げているが、公園自体は緑に囲まれている。国道と同じ標高から階段を60段下がったところに第一展望台があり、その眼下に最初の湧水群が広がっている。いわば国道直下の崖下数十メートルのところに忽然と水が湧き出しているのだ。
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    最上流部の湧水(上)とこれに続く湧水場所 いずれも砂の中より湧き出している

 この湧き出し部から川は始まり、わずか1200mの長さで柿田川は終わる。そして狩野川に合流し駿河湾に注ぐ。川幅は50~100mあり、主にその上中流部数十か所から合計日量100~140万トン(諸説あり)湧き出しているという。現地で説明を読んで初めて、1か所から100万トンを超す湧き水量でないことを知る。それにしてもぼこぼこ音を立てて湧き出すでもなく、わずかに川底の砂が舞い上がっている箇所がみられるくらいで静かなものである。
 ここは富士山の噴火による三島溶岩流の最南端にあたり、雪解け水が湧き出る最末端と言えよう。雪解け水が溶岩の下にもぐってここで湧き出るまでの年数はこれも諸説あるが、最近では十年説が有力という。

第一展望台脇には老人が立っていて、いろいろ説明してもらえる。この人の話によれば、柿田川周辺にはもともと軍需工場があって湧水を利用していたそうである。戦後もこれらの工場が転用されて工場廃水が柿田川へ垂れ流しとなりヘドロの川となりつつあったという。一方、柿田川には江戸幕府の許可による草取り場として40数名の地権者がいたという。危機感を抱いたこれら地権者が工場廃水反対運動をおこし、名水をよみがえらせるため、1975年「柿田川自然保護の会」が発足したのが湧水公園の始まりである。

 行政主導でこの名所が誕生したのでないことは傾聴に値する。自然保護の会は今では財団法人「柿田川みどりのトラスト」となり募金活動とトラスト基金を募り、自然観察会や流水量調査、流域清掃活動を行っている。トラスト基金では流域の民有地を借り上げたり、買い上げたりしている。
 公園だから当然入場無料であるが、この展望台横でも絵葉書や資料を販売しているので募金に協力する。
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       第二展望台 眼下に湧水場所があり右は柿田川
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    第二展望台下の湧水(元紡績工場の井戸) 日の光と砂が思わぬ水の色を作り出している

 第一展望台から数分、第二展望台へ向かう。ここは眼下に直径数メートルの大きな井戸側があってエメラルドグリーンの水をたたえている。もとは工場の取水井戸であったらしい。対岸には三島市や沼津市などの飲用水の取水場の建物が見える。さらに数分行くと柿田川の支川に親水公園がしつらえられ、流れに足を浸している姿も見える。別の支川では清冽な水が湧き出しているのを間近に見ることもできる。
 こうして一巡りして階段を上がると駐車場へ戻る。立ち止まらなければ一周30分ぐらいであろうか。駐車場はバス20台、乗用車100台(料金200円)置ける広さがある。
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            柿田川支流の親水公園
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             遊歩道と柿田川
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  遊歩道から間近に見られる湧水 ここは湧水部に石を置いている

楽寿園
 見物を終わって湧水公園前バス停から三島駅行きのバスに乗り、終点の一つ手前のバス停で降り、三島市立公園「楽寿園」に正門口から入る(入場料300円)。この公園は7万5千平方メートルの広さがあり、公園の入場口が2か所のうち、もう一方の入り口は三島駅南口のすぐそばにある。明治期の小松宮様の別邸であったものを市が管理運営しているという。正門に近い辺りは小浜池を前に別邸があり池は富士の湧水をたたえ、1万年前の溶岩の露出も見られ森閑としたたたずまいが好ましい。駅に近い一帯の台地上の地域は動物ふれあい広場やこども乗り物広場となっている。
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       富士の溶岩が露出する小浜池と旧小松宮別邸
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          流水に藻が揺れる聚楽園・中の瀬

修善寺温泉へ
 伊豆の温泉はあちこち旅したことがあるが、修善寺温泉には泊ったことがないので今宵の宿は修善寺と決め、
JR駅南口脇の伊豆箱根鉄道三島駅から終点修善寺駅を目指す。所要35分、510円であるが、温泉街まではさらにバスに乗らなければならない(10分、170円)。5時過ぎ金福荘へ靴を脱ぐ。夕食は食が細いので2皿食べ残す。この胃袋では高級旅館に泊まるのはもったいない。食前食後2度入浴するがここの岩風呂(弱アルカリ性単純泉)は良い。

追記
報道によると平成27年12月14日三島に新名所が誕生した。歩行者専用橋として日本最長の400mの長さを誇る三島スカイウオーク(箱根西麓・三島大吊橋)で民間営業である。地理はよくわからないが、三島市街から箱根に抜ける山の中腹、標高415mにあるため富士山と駿河湾を望む絶景という。

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